溺愛宣誓
『どうしたの?市姫さん。』
『つかぬ事をお伺いしちゃいますけどぉ、先輩この間、織田出澄と歩いてませんでしたぁ?』
未だ慣れない彼氏の名前にドッキンと鼓動が跳ねた。
『ええっと………はい。』
『ええ~!まさか先輩アイツと付き合ってるんですかぁ?もしそうなら絶対止めた方がイイと思うなぁ。』
『え、えと………』
『イイのは顔だけで、女関係最悪ですよぉ~、彼。』
訳知り顔で話す彼女を伺う。
どうして市姫さんがそんな事を知ってるの?
彼女の艶々プルプルの唇が勝ち誇ったように弧状に吊り上がった。
『彼の事なら色々知ってますよぅ。なんて言ったって私、彼に一番近い存在なんですもーん。』
………………絶対元カノだ。
保奈美ちゃんが戻ってきた時には既に市姫さんは去った後で
『え゛?何でアンタはそんなにめり込んでるの?私の居ない間に一体何が???』
私が地面をめり込ませる勢いで落ち込んでいるのを見て保奈美ちゃんは大層ビックリしていた。