溺愛宣誓
「おのれ、難波―――っ!何勝手に個人情報洩らしてやがるんだっ!!」
「ひぃぃっ、ゴメンなさいって!俺っち正直者なんだよ!悪気はなかったんだよぉ!」
織田さんに胸倉を掴まれぐらぐら揺すられて、平謝りする大三さん。
織田さんは大三さんから手を放し、私に真剣な顔を向けた。
「カノ、これは違うんだ。…いや、違わないけど。これまでの俺は確かに女性に対して最低だったと思う。だけどカノに出会って真実の愛を知って生まれ変わったんだ。」
「いやぁ~、華ノ子ちゃんに対してのみ劇的な産まれ変わり様だけど、後の対応全く昔と変わらないよね。」
突っ込む大三さんの頭にゴインと織田さんの拳が落ちた。
「ほら、ほら~みなさい。これがコイツの本性ですよ。それに幾ら生まれ変わったって言ったって、そんな真っ黒な過去を持った男なんて嫌ですよね~。」
それぞれの言い分、決断を迫られる重圧に私はまた俯き加減になりスカートをぎゅっと握りしめた。
どうしよう……市姫さん、凄い必死だ。
織田さんの事、かなり酷い言い様だけど、私を織田さんと別れさせた後で、じわじわと織田さんを攻略する気なんだろうか。
いやいや私の存在など彼女には足元にも及ばないだろう。
―――――けどっ
私はぎゅっとスカートを握りしめ、俯いていた顔を上げた。
足元にも及ばないかもしれないけど、彼女を躓かせる段差くらいにはなりたいっ!
いやいや、路上にぺっされたガムくらいにしかなれないかもだけど。
それならそれで少しは彼女を不快な気分にさせられるだろう。
あ。意外とガムの方が嫌がらせスキルは高いかも。
ともかく!
だって私、織田さんの事が好きだもの!!!