溺愛宣誓
「ああ。うん、ソーネ。エイプリルフールね。」
路上での激泣きワンマンショーを見過ごすわけにもいかない立場のお巡りさんが、私を宥めすかしながら(寧ろ強制収容気味に)派出所ヘ連れて行った。
『こう言う時は甘いモノの方がイイのだろう。遠慮しないで呑むと良い。』
そう言ってお巡りさんが出してくれた麦茶は溶け切らない砂糖でトロンでいた。
ビミョウテイスト。
そして聞くも涙、語るも涙の私の身の上話を聞いたお巡りさんの反応は若干の失笑気味。
反応までもビミョウな人だ。
平日の今日、会社の前で織田さんを待つ私はいつも以上に緊張していた。
何故って、今日はエイプリルフールなのだもの!!
いつも織田さんにはドキドキソワソワハラハラさせられてしまうから、そのお返しに今日くらいは私が織田さんをビックリさせたい!
そんな意気込みで、足早に待ち合わせ場所にやってきた織田さんに私は一世一代の大嘘をぶちかました。
『好きな人が出来たので私と別れて下さい!』
え?そんなまさか!嘘だろ?とうろたえる織田さんにネタばらし。
なーんだ!コイツゥ~、ビックリしちゃったゾ☆とおでこを突く織田さんとうふふ、あはは、と笑い合って、ドッキリ大成功~♪
…………の筈だったのに。
『そうか。分かった。』
織田さんから返って来たのはニッコリ爽やかな笑顔でのそんな返事だった。