溺愛宣誓
…………………へ?
私は我が目を疑った。
床に吹っ飛んだお巡りさんの前に仁王立ちするそのスーツの背中には見覚えがあったから。
「…ど、どうして……織田さん?」
どうして今更。
別れようと言った(大嘘なのだけども)私に戸惑いもなく頷いたのに。
何で今更、そんな一生験命走り回って探していたみたいな汗だくな格好で現れるの?
「う、嘘だと思いたかった………。」
私に背を向けたままの織田さんからぽつっと言葉が落ちた。
「ホラ、今日はエイプリルフールだし…ああ、コレ絶対嘘だから!別れるとか、ナイナイナイナイ、イ、ナイ?ともかくエイプリルフールの嘘だと言う事にして、だったら俺も嘘で返さなくっちゃな、と思って。微塵も選択にない返事を返したんだ。」
……え
微塵も選択にない…返事?
嘘で…………返した
「平静にジョークで返しつつ、え?まさか本気じゃないよね…なんて内心動揺してほんの少し目を放した隙にカノは居なくなってるし、ええっ!?まさか、マジか!?とかなり動揺しつつも、いやいやうっかり迷子になっちゃったかな?なんて慌てて探して、見付けたと思ったら……」
織田さんはぐっと拳を握りしめて叫んだ。
「カノが俺を捨てて、こんなお巡りさんコスプレ男と楽しく派出所デートしてるなんてっ!!!」
「ちょ――――っ!!!コス違うっ!俺ホンモノ!!」