溺愛宣誓
愕然としている私を余所にナンパ男と織田さん(仮)が言い合いを始める。
「オマエらさっさと彼女を手を放せ。」
「えー?アンタ、ホントに彼女の連れぇ?俺達騙そうとしてるだけじゃないのー?」
「ぅはぁ、王子様気取りデスカー。イケメンはやる事が違うねー。」
「ぁ゛ぁ゛っ!?マジで俺が待ち合わせ相手だっての!」
「嘘だぁぁぁぁ――――――っっ!!!」
突然私の放った絶叫に三人はびくっと跳ねた。
「う、嘘ぉ。こんな…アリエナイ!!!」
「え?ちょ…嘘って……」
「アンタやっぱ嘘吐いてたん?思いっきり否定されてますけど?」
「はっ!?ふざけんな!マジだって…!!」
うろたえる織田さん(仮)を余所に私はアリエナイを連呼する。
「人生初の合コンで、人生初の出会いで、私の人生初の待ち合わせがこんなイケメンなんてアリエナさ過ぎるっ。おこがまし過ぎる!絶対私神様に騙されてるぅぅ!!」
隣のナンパ男さん達に視線を向ける。
茶髪がチャライ印象の、十人の中に塗れたらもはや区別の付かないような平平凡凡な顔立ちのお二人。
「……まだ納得出来る。」
私の呟きにナンパさん達は「それはそれで何だかヘコム…」と顔を引きつらせる。