溺愛宣誓


「ホラ、その瞑らな瞳をかっ開いてみて下さい。アイツは紛う事無き最低な男なんですって!そんな男はさっさと捨てて、私と末永く幸せに―――」



「織田さん今日は会社休んでるってよ。」


傷心にぐいぐい付け込んでくる市姫さんを向かいから飛んできた声が遮った。

保奈美ちゃんが、かつ丼を食べながら器用に携帯を弄りながら冷静に言った。


「大三曰く、風邪らしいわよ。大方その名前呼んだのって病院の看護婦かなんかってオチじゃないの。」


チッ、とお隣の可愛らしいお嬢様からアリエナイ舌打ちが…。


「でもそんなの本当かどうか分かんないじゃないですかぁ。今頃、仮病と言う名の有給で、家に連れ込んだ女とお医者様ゴッコに興じてる最中だったりして。」



そんな…そんな…



いやぁぁぁ。





かくして私は急遽午後から半休を取り、看病と言う名目の偵察に一路織田さんの家へ向かった。

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