溺愛宣誓
「……カノ?」
唐突に後ろから掛けられた声に私は飛び跳ねた。
「えっ、あっ……織田さん!?」
えっ。どうしてそちらからの登場なんですか?
振り向いて、それが織田さんと認識した途端、フワリと抱きしめられた。
き、やぁぁぁぁあああ。
い、いきなりっ…いきなりぃぃ…!
「はぁ……病院行っただけなのに今かなり朦朧としちゃってんだな、俺。カノの幻が見えるなんて…。しかし、こんだけリアルな幻ならオッケーだ。早速家に連れ込んで思うがままに―――」
「お、織田さんっ、しっかりして下さい!私本物です!」
「随分達者な幻だ。俺の妄想力グッジョブ。」
「本物ですって!あのっ、織田さんが心配だったので会社を早退して看病に……」
「ほんもの」
途端、がばっと身体を引き離された。
織田さんは冷静にポケットから取り出した鍵で玄関を開けてすっと中に入り、薄く開けた扉の先から告げた。
「心配してくれて有難う。だが今日はもう帰ってくれないか。送ってあげられなくて済まない。」
その掌返したよそよそしい態度にショックを受けた。
断固入室拒否のその態度…
ままままさか、やっぱり部屋の中にナース仕様の女性が玩具の注射器を片手に待っているの!?