溺愛宣誓
コホン、と改まった咳に顔を戻せば織田さんがちょっと赤味の差した顔を反らして歯切れ悪く言った。
「いや、神も俺も騙してないから。その…合コンの時は殆ど……や、一言も話せなかったけど。それで連絡先も聞き損ねたけど。でも君の事諦められそうになくて。それで連れに頼んで今日誘って貰ったんだ。」
「ぅわ、イケメンのくせにすんげーヘタレ。」
「うっせぇなっ!!!」
茶々を入れるナンパさんに織田さんが吠える。
「そ、それで、あの…今日の誘い受けてくれたって事は、君なりに俺に興味持っててくれたんじゃないかって……この前は全くしゃべってくれなかったけど。凄く嬉しかったんだけど。」
俯いてしまった私には彼がどんな顔か分からないけれど、その声は主人を見失った忠犬のようにしゅうんと落ち込んでいて、私の胸がきゅうんと震える。
違わない、よ。
確かに私、あの日向かいに座った貴方に興味を持ったの。
だからって私から声を掛ける勇気もなくて、だから誘われた時本当は凄く嬉しくて。
舞い上がって、天国に行けるんじゃないかって程嬉しかったの。
もう一度会いたい。
貴方の事もっと知りたいって、思ったの。
だから勇気を持って、私!
ちゃんと気持ち伝えなきゃ。
「……………ス………」
「え?」
「ソース、を……醤油差しにソース入れて…お刺身をソースで食べる人初めてだったから驚いて。変わった人だなって思って…私ももっと貴方の事知りたいって、それで…」