溺愛宣誓
「はっ、こうしちゃいられない!」
叫んだ織田さんは慌てて洗面所を飛び出しリビング中にしゃっしゃっとスプレーを吹きかけ、家具を拭きだした。
私の為にそこまで……
「俺から生れし風邪の菌といえどもカノの体内に入るなんて羨ましい………じゃなくて、許せん!!!殲滅するべしっ!!!」
……私の為、ですよね?
「そ、それにしても。織田さん、色々持ってるんですね。少し潔癖症な感じだったり…?」
「いや、そうでもない。これは急遽買い揃えたんだ。カノに会うつもりで。」
「え。」
「…心配も掛けたくなかったし、普通に会社行って、その後いつも通りカノに会おうと思ってた。ここまで徹底すれば会っても大丈夫かな、って。」
寧ろ待ち合わせに防護服の織田さんが現れたら逆に色々な意味で大丈夫デスカ?と心配になりますが。
「だけど……万が一にもカノにうつったら、と思ったら不安で、………止めた。」
お、織田さん……っ!
織田さんのあまりに過保護な愛に私の身体が震える。
「まぁ、これまでは風邪引いても病院にも行かず、無理を押して出勤したりもしたんだけど…、今回は会社も休んで病院にも行って来た。カノに会えないのは寂しいから一刻も早く風邪を治そうと思って」
ついでに体温急上昇、挙句に動機息切れ……もはや私が立派な病人です。
「カノが病気になるなんて本当に耐えられないし、本当は会わない方がイイのも分かってるけど…」
そこで言葉をとぎった織田さんははにかむみたいに笑った。
「会えたらやっぱり嬉しいな。」
鞍馬華ノ子、そのステキな笑みに萌え死にました。