溺愛宣誓
「………看病されるっていいな。」
「ハイ?」
「熱に浮かされてなんかすんごく良い夢見た。カノにちゅ~されるとか……。例えそれが熱の見せた幻想だとしても、それならそれで一生熱に浮かされていたいっ!」
「……ああ。風邪をひくつもりでソレなんだ。」
若干と言わず大三は呆れた。
「いや、でもさぁ。風邪なんか引いちゃうと迂闊に華ノ子ちゃんと遊べなくなっちゃうヨ?それに織田っちが風邪引いたら華ノ子ちゃんが大層悲しむと思うんだけどナ?」
「む…。俺がカノを悲しませる訳ないだろ。」
どの口が言うんだか。
言うが早いか手早くボタンを留めてネクタイを着けて、あっちゅう間もなく普段の織田仕様が完成した。
さらに眼鏡を装着し、仕事仕様の鬼殿の完成形。
「さて、今日もバリバリ仕事して当然のノー残業ディー。無論、カノとアフターファイブデートデー。邪魔する奴は皆殺し。ああ、早く愛しのバンビに会いたい…。」
彼の口から紡がれる、唄なのか詩なのか分からん呟きが、先ほど彼の胸元に魅せられて浮かれていた者達の心をバナナも叩ける程の絶対零度に瞬間冷却したのだった。
::::::::::::::::【とある看病記念日:end】