溺愛宣誓
「私達上手く行ってたでしょ?お互い必要な時にだけ求め合う自立したお付き合い。私もあまり恋愛主義じゃないから、そのくらいが性に合ってるの。」
「はぁ?確かに薫子は俺が知ってる人間の中でも、頭の回転はイイし、卒なく動けるし、一緒に行動するのにストレス無い相手だった。そう言う意味では気に入ってたけどな。ヤッたのはそのオプションみたいなもんだろ。」
元カノならば、同じ時間を共有し、色々な関係もあるのは当たり前。
分かっていても、その事実に改めて直面すれば、モヤモヤとどす黒い感情が湧いてくる。
「いやぁん。純情な市姫には分からない大人な関係だわ~。それはそうとなんだかんだでベストカップルですよねぇ。」
私に嬉々とした顔で囁く市姫さんが小悪魔を通り越して正真正銘の悪魔に見える……。
私が主任に敵うモノは何一つない。
織田さんはきっと彼女の手を取るだろう。
もうお別れになっちゃう……
それならいっそ今すぐ回れ右してこの場から逃げ去りたい―――――
「ひやぁっ!?」
いきなり鞄から高鳴った電話の着信音に驚いて飛び跳ねた。