溺愛宣誓
「カノ?」
織田さんの声がして花時計をぐるっと回った彼が姿を現した。
「何だ。もう来てたんだな。あ。今の電話は俺だからもういいよ。急かすつもりじゃなかったんだが、カノが今何処に居るかとか、変な男に絡まれてないかと心配になって確認のために……。」
そう言い差した織田さんは、私に向けていた視線をパッと外した。
……え゛。
私の格好、正視し難い程ダメなカンジなんですか…?
「どうしよう…休日のカノが普段に増して可愛過ぎて直視出来ない。それにデートの為にそんなお洒落してくれたのかと思ったら嬉しくて、………照れる。」
白い肌をほんのり染めてそんな事を呟く織田さんにコッチこそボンッと火山が噴火したみたいに熱が上がる。
かかか可愛いとかっ、直視出来ないとかっ…そんな、もう、ご冗談を…っ!
それが社交辞令とか、織田さんの優しさから出たお言葉だと分かっていたって、言われ慣れていない私には殺戮的な兵器だ。
「ああ、でも……そんな可愛いカノをこれから不特定多数のヤツ等に晒して歩くなんて耐えられないな。やっぱり今すぐ俺の家へ―――――」
「お、織田さんこそ今日もとってもステキです。えと、そんな人と映画を観に行けるなんて、本当に夢みたいで…」
ん?
テンパって照れながら捲し立てたら、織田さんのセリフと被ってしまった。
なんて言ったんですか?
きょとんとして視線を上げれば、織田さんが一拍の間を置いて爽やかな笑顔を浮かべた。
「俺がカノの望みを叶えない筈あるだろうか。いや無い!と言う事で、無論、映画に行こうとも!」
結局何を言ったかは分からず仕舞いだったけれど、私の手を取り微笑む織田さんは本物の王子様みたいで、顔が火照った私は隠すように俯く。