溺愛宣誓
「で、俺の可愛いバンビーナ。観たい映画は決まってるかな?」
「え、えと…今話題の恋愛小説を実写化した映画などどうかな、と。」
「ふっ…恋愛映画か。何なら映画よりも甘い物語を俺が実写化しようか。勿論カノがヒロイン役でね。」
え゛っ!?
織田さんなら本気でやりそう!
そして本気で倒れかねないくらい激甘そうで怖い!
「………え、えーと。じゃ、じゃあ夏先取りのホラー映画などは…っ。」
「大歓迎だ。プルプルしながら涙目でしがみ付いてくるカノを想像すると今から楽しみで笑いが止まらないよ。」
ちょ…、織田さんのホラーの楽しみ方が著しく一般と違っている気がします!
というか、プルプルしながら涙目でしがみ付く事をさり気に期待されている私としてはホラー本来にはないプレッシャーを感じますが!?
「じゃ、じゃあ!アクション!アクション映画なんかどうでしょう!悪役の俳優さん、昔っから私大ファンなんですよねぇ。」
「……ああ。よし……。今すぐにでもソイツを殺って、俺がカノの真のヒーローに成り替わろう。」
…もはや映画を無事に観賞できない予感しかしない。
若干途方に暮れる私に織田さんはふっと表情を緩めた。
「冗談だよ。映画は俺の事を気にせず、カノが観たい物を選んだらいい。」
「で、でも……やっぱりどうせなら二人で楽しめる物の方が……。」
「それは心配無い!うすぼんやりした照明に、カップルシートで、映画に夢中のカノ観賞をたっぷり堪能出来るんだから楽しくない筈はない!寧ろ人生で一番楽しい映画鑑賞間違いナシだ。」
ちょ、織田さんっ、言う事が激甘過ぎ…てか、映画の楽しみ方が著しく一般とズレてっ、…って!映画の間ずっと観賞されているとか、照れます!てか、き、気恥ずかしいし、緊張するしっ……!
大事なので二度言いますが。
映画を無事に観賞出来ない予感しかしません。