溺愛宣誓
似非紳士と不審者
::::::::::【八章】:::::::
会社からの帰り道。
私と織田さんは公園のベンチに並んで座っていた。
今日は私も珍しく仕事が長引いて残業になってしまった。
『終わる時間教えて。それまで俺も残業してくし、一緒に帰ろう。』
と織田さんが言ってくれて(優し過ぎ!!)帰る頃にはとっぷりと日も暮れ夜になってしまった。
二人で並んで私の家に向かって歩く道すがら、私はいつになく口数が少なくなっていた。
言わなきゃ…こう言う話しはやっぱりちゃんとしとかなきゃ…
『あの織田さん…!ちょっとお話が……』
そう切り出した物の、中々次の言葉が言えずに俯くばかりの私に、織田さんは何かを察したらしく近くの公園へと誘った。
公園のベンチに並んで座る。
沈黙が更なる緊張を生んで、私の心臓はずっくんずっくんと重いビートを刻み続ける。
保奈美ちゃんにも相談したら
『そんなのさっさと彼氏に言いうべき!』
と一喝された。
そうよね…やっぱりちゃんと言うべきよね。
分かっちゃいるものの、織田さんを傷付けるんじゃないかと思えば、口は石膏像のように固く閉じたまま動けなくなってしまう。