溺愛宣誓
「カノはどうしたいのかな。そのカワイイ口でちゃんと言ってごらん。」
耳に甘い笑声が吹き込まれ、ゾクンと震えて肩を竦める。
私は掻き集めた勇気を振り絞って恐る恐る視線を上げ、“願い”を口にした。
「き、今日…も…織田さんのお家に……お邪魔しちゃ…ダメですか?」
見惚れてしまう程素敵な彼は更に蠢惑的な笑みを浮かべて意地悪な質問をする。
「来る、だけ?」
「そ、そんな事っ……!お、織田さんの、……意地悪。」
恥ずかしさの限界でいよいよ本格的に泣き出しそうになった私のつむじに「ゴメンゴメン。」という言葉とちゅっというリップ音が触れた。
「おおおお、織田さんっ。」
こんなっ…会社の前でそんな事っ…。
「ゴメンね。意地悪されておろおろするカノって、本当に可愛過ぎるもんだから。無論、俺の家に来るのも大歓迎だ。今夜もカノが満足するまでたっぷり相手をしてやるよ。」
「ま……満足するまで、だなんて……」
「まだ飽きそうにない?…じゃ、今夜もお泊り…かな。」
そんな会話をしながら「ほら、行こう」と促されて歩き出すのは、今度こそ織田さんの家に向かう道。
歩きだした私達の後ろ姿を眺めて
「あの華ノ子が、あの華ノ子が、あーのー華ノ子がぁ!?」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。私のバンビ先輩がぁぁ」
二つの驚愕然りの悲鳴が上がっていた事など知る由もない。