溺愛宣誓
キュービットは長さの単位



::::::::::::::::【十章】:::::::::::::







ある日、仕事が終わって会社の前で織田さんを待っていた時の事―――



「あ、あのっ…」

「ははははい?」


私は不意に掛けられた声にチラリと視線を向け「あ…」と目を見開いた。

少し体裁悪そうな顔で私を伺う男の人。

がっしりした体躯にジャージにTシャツの全く垢抜けない風体。


「あ~…えっと、突然声を掛けて申し訳ない。仕事中にこの辺で君を度々見かけていて、この辺に居れば会えるかと…。えと…今日は君に話があって待っていたんだけども…。」

「は、はぁ……」


デカイ図体を窮屈そうに縮めた彼は、厳つい顔にほんのり朱を乗せて、しどろもどろに言葉を続けた。


おおよその内容を聞き終えて私がちょっと複雑な気分になった頃



―――彼が私の視界から吹っ飛んで消えた。

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