溺愛宣誓
「貴様、俺の可愛いバンビーナに何絡んでやがるんだ。ぶっ飛ばすぞ。」
「お、織田さん…っ!」
相手はもう既に吹っ飛んでマス。
飛び蹴りで登場した織田さんは、徐に眉尻を下げた顔を私に向けた。
「大丈夫だったか?ゴメンな。こんな害虫に襲われて、さぞ怖い思いをさせてしまった。俺が、俺が遅かったばかりに……」
「ぜ、全然っ、全然遅くなんてありませんでした。あ、あの…私を助けてくれた織田さんは、王子様というか騎士というか…ともかくステキでした!!」
「あの、ちょっと…俺の害虫扱いはスルーなのかい?」
「じゃあ、カノはお姫様だね。俺のお姫様は相変わらず部屋に閉じ込めてしまいたいほど可愛らしい。」
「と、閉じ込め……あっ!ラプンツェルですか!?」
「じゃ、君を監禁する俺は魔法使いかな。脆弱な王子なんて撃退してやるから、塔の最上階にいつまでも二人っきりで幸せに暮らそう。めでたしめでたし。」
「ちょ…吹っ飛ばした俺を無視してカオスな会話してないで……。」
弱弱しく突っ込む男性に織田さんは鋭い視線を突き刺した。
「身の程知らずのナンパ野郎が。虫けらの分際でカノに話しかけるな。穢れるわ。」
「あ、あの織田さん…ちょっと言いにくいんですが…この人知り合いです。織田さんも知ってる人ですよ。」
「生憎だが、俺が彼氏と知っていてカノに声を掛けるような愚か者に知り合いはいないよ。」
いやいや、多分フツーにいますよ。
「ホラ、いつもお世話になっているお巡りさんですよ。制服着てませんけど。」
「その通り!いつも君達に迷惑を被っているお巡りさんだよっ!!」
途端、織田さんは潰れたプリンでも見下ろすような顔に変わった。
「貴様、お巡りさんの権力を駆使してカノをストーカーするとは羨まs…………腐ってやがる。法の力を借りずとも俺が直々に捌いてやるか。」
「微妙に本音洩れてるよっ!そしてそこはせめて“裁く”にして!」
三枚に下ろされるぅ~…とお巡りさんが震えあがる。