溺愛宣誓
「カノの同僚て…。諦めろ。ヤツは曲りなりにも俺の同僚の彼女だしな。と言う訳でもう話は済んだな。さぁカノ、帰ろうか。」
「君、俺に対して冷た過ぎないかい!?」と涙目で突っ込むお巡りさん。
私の手を取り早々と歩き出す織田さんを私は慌てて引き留める。
「あ。あ、織田さんっ…ちょっと待って下さい。違うんです。あの日は保奈美ちゃんは生理休暇と言う名のサボリで、一緒にランチに行ったのは市姫さんなんです。」
「市姫ぇ~?」
ひっ…織田さんの口からデスメタル並みにオドロオドロシイ声が出て来た!
お巡りさんは「市姫さんというのか…」と春めいた顔で呟いていて、目の前の現実はまるで目に入っていない様子だ。
「カノ、君の行動をとやかく意見する気はないけど、それはダメだ。絶対ダメだ。今後市姫なんかと二人で行動しないこと。いいね?」
「えと…や…でも…あの…市姫さんは同じ課だし…えっと、後輩だし…」
「カノと二人きりというシチュにテンション駄々上がった市姫がトチ狂ってどんな暴挙に出るか分からないだろう。ランチと油断させといて薄暗い店に連れ込んであんな事やこんな事したり、道中で路地裏に連れ込んであんな事やこんな事を…。俺は、俺はカノの身が心配で心配で…。」
「お、織田さん……」
繋がれたままの手がきゅっと握られ、私は赤くなった顔を俯ける。
それはともかく、織田さんが心配するような事は流石に無いんじゃないかな。
……うん、でも、
食後のデザートを強制あ~んされた事は黙っておいた方がイイ気がする…。
「ともかく、カノと仕事の合間のランチデートする市姫が妬ましくて妨害してやろうなんて思ってる訳じゃないんだよ、俺は。」
「は、はい。わ、私の事を心配してくれてるんですよね…。織田さんって本当に優しくてステキな人…。」
「色々スルーしてそんな言葉が出せる素直すぎる君が大好き。」
「織田さんっ…」