雨の日はブルー
「走ってきたの?」
花屋に着くと、
もうすでに翠は待っていた。
「急いで来ちゃった」
爽やかに微笑む翠に
苳も笑い返すと
翠は苳の手をとった。
「じゃあ、行こう。着いてきて」
ドキドキと胸を鳴らす苳をよそに
翠はどんどん歩いていった。
「ここ、通れる?」
翠が立ち止まると同時に
苳も立ち止まった。
「え、ここ…」
翠越しに前を見ると
高いフェンスの下に小さな穴が開いている。
「やっぱ無理かなぁ…」
「行こう!行ってみよう!!」
少し気落ちする翠の後ろで
苳は興奮気味に答えた。