雨の日はブルー
6
翌日
苳はどこに行くのかと聞く季の声を無視して
昨日の場所へ急いだ。
時間は10時10分。
約束の時間を10分過ぎていた。
早く翠に会いたくてたまらない。
苳は昨日帰ってから
1日翠のことを考えていた。
ハンカチを貸してくれたこと。
ハンカチを返すために花屋へ行くと
また翠に会えたこと。
とても眺めのいい場所へ連れて行ってくれたこと。
そこで翠とお揃いの手作りのネックレスをもらったこと。
そして、
翠に抱きしめられたこと。
翠と出会ってからの日々は
どこをとっても奇跡的で、
たった4日でこんなにも好きになるとは思わなかった。
翠にもう一度好きだと伝えたい。
翠に苳が好きだと言って欲しい。
そんなことを考えていると眠れなくなっていたのだ。
苳は時計を気にしながら、
昨日の場所へと急いだ。