雨の日はブルー
2
「結局持って帰って来ちゃった」
さっきまで土砂降りだったのに
翠と少し話している間に
すっかりと止み、雲も晴れている。
どこかで虹がでないかと期待したが
何も起こらないまま、家に着いた。
「どうやって返せばいいんだろう」
家の前で立ち止まり、
さっき借りたハンカチを見た。
本当のことを言うと、
苳は翠のことを何も知らない。
初めて会ったし、
さっき名前を聞いただけで
笑顔だけを残して去って行ってしまった。
すると、家の玄関が開き、
中から部屋着の弟が出てきた。