雨の日はブルー
苳は洗面所に行く季の背中を見送ってから
自分の部屋に向かった。
部屋の扉を開け、
エアコンを除湿でかけると、
その場に座り込んだ。
「早く着替えないと風邪引くしカーペット濡れんぞ」
扉の向こう側から季の声が聞こえた。
季には見なくても苳が何をしているかわかるらしい。
苳はゆっくりと立ち上がり、
部屋着に着替えると
濡れた制服をハンガーにかけた。
「また会えるのかな…」
一目惚れしたのかもしれないと思うほど
苳の頭の中には翠しかいなかった。