雨の日はブルー
「それに、会ったのは初めてじゃない」
「え…そうなの?」
「うん、まあフキは覚えてないと思うけどね」
翠は柔らかく笑うと
受け取ったハンカチをポケットに入れた。
「名前…」
「ああ、覚えてるよ。フキも僕の名前覚えてる?」
「スイ…くん」
「ん、翠でいいよ。」
そう言うと、翠はスウッと息を吸い込んだ。
「明日、また会えないかな」
「え…」
「フキに見てほしいものがあるんだ。」
「あ、会える!大丈夫だよ!」
「じゃあ、明日学校が終わったらここに来て。待ってるから」
「…うん!!」
苳が勢いよく返事をするのを見て
翠は優しく微笑むと、
後ろを向いて歩いて行った。