雨の日はブルー

「それに、会ったのは初めてじゃない」

「え…そうなの?」

「うん、まあフキは覚えてないと思うけどね」


翠は柔らかく笑うと


受け取ったハンカチをポケットに入れた。


「名前…」

「ああ、覚えてるよ。フキも僕の名前覚えてる?」

「スイ…くん」

「ん、翠でいいよ。」


そう言うと、翠はスウッと息を吸い込んだ。


「明日、また会えないかな」

「え…」

「フキに見てほしいものがあるんだ。」

「あ、会える!大丈夫だよ!」

「じゃあ、明日学校が終わったらここに来て。待ってるから」

「…うん!!」


苳が勢いよく返事をするのを見て


翠は優しく微笑むと、


後ろを向いて歩いて行った。

< 9 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop