東京血風録
プロローグ
 現世には、物の怪がいる。

 それらは、人の形をしていることもあれば、異形のものもある。
 形を成さぬ、思念のようなものもある。

 それらは、害悪とは決めつけられないが、人に仇なす存在がいることも事実である。

 その場合、そもそも存在を明らかにされてないそれらは、常人には悟られない訳で、何に於いて不幸に見舞われているのかも知りうる術はない。

 たまたま、霊感などが強い者がその存在に気付く。それでも、対抗する術までは持ち合わせてはおらず、何もできないのがオチであろう。
 途方に暮れるか、インチキ霊媒師に相談して更なる地獄を見ることになるのか。
 往々にして、好転する事態は少なかろうて。 


 この世は世知辛いのぉ。
 ただ、それらを駆逐することを生業にしている者達がいることも事実である。

 困ってしまって、どうしようもないあなた。ここはひとつ、彼らに相談してはいかがかな?
 彼らのことは、こう呼んであげてください。





 “悪霊狩り師”と。
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