東京血風録
 こうして、王道遥の“悪霊狩り師”としての生活が始まるワケだが、当然ながら生業にはなっておらん。




 遥自身、気になったモノや練習程度と言ってはあれだが、小手先調べのように地縛霊を浄化させていった。
 “地縛霊狩り師”ではなく“悪霊狩り師”と呼ぶにはそれなりの理由があった。


 ある時、彼の前に現れたのは、取り憑かれた男だった。
 それは不思議なもので、相手にも遥がその手の手練れであることが判っていたようである。

 街中で遥を見つけるや否や「私を助けてくれ!」と、大声で懇願したのである。
 その男の肩に乗ったそれは、見るからに悪霊然としていて、遥に告げ口した男を背後から睨め回すと、男に襲いかからんばかりの動きを見せた。
 たまらず、遥は木刀を抜きながら突進した。
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