東京血風録
 「血風吹きあれん」に対しては、我々は
大いに研究・練習した。

 念の込め方、スピード、突き方、斬り方、角度などなど、最大に効果が得られるよう試行錯誤した。
 おかげで「血風吹きあれん」に関してはあらゆる局面に際しても、対応できるほどに仕上がっていた。

 練習の場に使っていた、神社の境内にある石畳や樹木などには、へんてこな穴が多数穿かれた結果になった。

 ただし、実際に使用したのは3度。
 偶然の初回も含めてだ。

 対魍魎・霊族戦、遥の35戦35連勝。   何気なく練習したり、霧散させたりしたものも含めると63戦無敗となる
 その中で3度は、明らかに少ないと言える。

 実は、究極奥義と言うだけのことはあって、威力もさることながら遥の消耗も激しいのである。

  遥自体、念を鍛えるということがあまり得意ではなく、そもそも教えてくれる師のような者もおらんので、必然的に独学でということになるからだ。

 儂が増幅すると言っても、はなから微力なものでは格段の力になるべくもないので、現在の遥の能力がいかほどのものであるかは、推し量れる術もない。
 今現在で“最強”であることに間違いはないのだが……。

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