東京血風録

 なんの拍子かは分からないが、霧華が“血風吹き荒れん”のこと、遥の魍魎ハンターとしての素質に気づいたのは、ついこの前のような気がする。

 遥と霧華は、別段普通の姉弟の仲であって、特筆すべきこともない。
 お互い隠し立てするようなこともないので、バレても構わないのだか……。
 あの日の会話を再現しよう。

「遥、あなたおじいちゃんと同じこと出来るわけ?」
「同じことというか、似たようなことだけど・・・」
「よし、わかった」

 ここである。
 この“わかった”が、何を理解したのか、何を解釈してのわかっただったのかが、全く分からない。
 明くる日、霧華は遥にこう告げるのだ。


「事務所開くから!除霊処(ところ)」
「ちょ、ちょっと待った姉さんっっ!」


 そう、遥が言った時には、時すでに遅しだった。
 除霊師?霊媒師?に遥1人を携え、事務所を契約、開業した。
 それが“オカルトOHDOH”なのである。



 まだふた月前の話である。
< 18 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop