東京血風録
鬼について、注釈せねばなるまい。
『鬼』
その存在は、日本に於いて古来より文献や書物に残っている。
物語に於いては、敵として最強の存在として描かれることが多い。
では、実際にはどうであったか。
「鬼」というモノは存在しない。
あるモノを具現化したものである。
人はそれを、知っていながら内にしまい込んで知らないふりをしているのだ。
安穏な生活の為、平常な日常の為。
即ち、「鬼」とは人間の奧めいた部分に潜む、闇の部分が具現化されたものである。
人間の脳は、100%の能力を発揮していないらしい。
その潜在的な能力を解放しているのが「鬼」なのである。
いや、「鬼」だから解放しているのか。
桃太郎の場合、支配下に置かれた世界でその諸根源である領主「鬼」に対し、希望を持った若者が革命を起こすという、回顧録であるし、泣いたあかおにに於いては、
集落の中で孤立した者たちの戦いであると言えるであろう。
鬼族の端くれである、剣鬼である儂が申すのだから間違いなかろう。