東京血風録
2 対決 1
遥が事務所に戻ると、霧華は起きていて
ソファーで珈琲を飲んでいた。
もう午後6時を回っでいた。
「ただいま」
「おかえりー」
遥の言葉に軽口で返す霧華。
この雰囲気、何かある。
直感が示す。
遥も身構える。
「あのさあ、昨日誰と呑んでたか知ってるよねぇ?」
霧華の問いに遥。
「浄霊コーディネーターの加倉井さんでしょ」
ふむ、と霧華が相づちを打つ。
「伽藍学園への編入届出しといたから明後日の月曜日8時に学校へ行って」
「え!ちょ、ちょっと!」
遥が慌てて、反論しようとするが霧華が機先を制し、
「魍魎ハンター潜入捜査開始ってね。遥言っておくけど役立たずにタダ飯喰わしとくほどウチには余裕がないの。今回負けは赦しませんからね。絶対的な圧倒的な勝利で私に美酒を飲ませて頂戴」
ときた。
それこそ圧倒的なまくしたて方に、遥も面食らっていた。
これ、二日酔いだとブツブツ呟いていたが、霧華は意に介せず続けた。
「今回、勝利と問題解決が絶対条件で成功報酬になっているから!加倉井さんから前金で10万貰ってるから。それから成功報酬として60万円!!この事務所の2ヶ月分の家賃と生活費が掛かってるんだからあんたしっかりやりなさいよ!!」
そう熱弁する霧華の眼は充血していて、
酔いがぶり返してるのが見て取れた。
それにしても、鬼退治に70万円もの金額が動いていたとは。これは大事だ。
加倉井とかいうヤツ、なかなかの曲者よのぉ。
学校関係者も絡んでいるから、上手く丸め込んで金額を上乗せしおったわい。
さて、遥はどんな様子で、、、、!
あまりのはなしの大きさに遥は立ったまま白目を剥いて気絶していた。
こりゃ、先が思いやられるわい。