東京血風録
校舎の外へ出ると、授業開始を告げるチャイムが鳴った。
最初から授業に出る気などなかったのか
相談を初めた。
「2人の意見が一致してますが、校内にいるであろう彼をどうやって探し出しますか?」
飛鳥の質問に遥は、
「僕に周辺探査の技があるのでそれを使おうかと思います」と。
そりゃそうじゃ、アレを使わない手はないぞ、遥。
「陣地不背(じんちふはい)と言います」
そう言いながら、遥は黒い木刀・儂・伊號丸を布袋から引き抜いた。
そのまま、正門と校舎の間にある校庭の真ん中までつかつかと歩いていくと、木刀ん体の前に逆さまに構え、切っ先を地面に向けた。
木刀の真ん中くらいを、右手が上、左手を下に握ると中腰になった。
陣地不背と小さく呟くと、木刀に念を込めた。
肩口から膨れ上がった(ように見える)念は二の腕、肘、腕へと流れていき、木刀に集約された。
それを、一気に地面へ突き刺した!
すると、木刀を中心に念の波動は地表を円状に拡散していく。
「半径100」
遥が呟くと、瞬く間に校舎にも達し、反対側正門へも達していた。
遥の左方向、正門から続く塀の内側まで達すると、その手前にある生け垣からぎゃっ!と呻き声が上がった。と、同時に人影が躍り出た。
熱い鉄板の上を歩くように、片足ずつ上げてびょこぴょこ跳ねる姿は滑稽だった。
日暮幸多であった。