東京血風録





 遥は気を入れ直したらしい。1つ大きく息を吐くと顔がスッと真顔になった。



 それにしても王道遥、なんという美しい男よ。
 眼にかかる直毛の黒髪、その奥にある切れ長な瞳。
 綺麗に整った端正な顔は、見る者の目を嘆息へと向かわせる。
 身の丈180センチ弱、中肉中背。
立ち姿は中世の石像を思わせるほどの造りになっている。



 遥は踵を返すと、入口へと向かった。
 入口のそば、立てかけてある2メートル近くある長い布包みを手に取ると、ひょいと肩に掛けて扉を開け出ていった。
 扉を閉めるとふと立ち止まり、振り返るとしばし扉を眺めた。


 入口の扉には、嵌め殺しのガラス窓があった。
 そこには、
(オカルトOHDOH) の白文字が踊っていた。


 更に小さな白文字で除霊だの、陰陽道だとの乱雑に並んでいた。
 それを見る遥の眼は、なんとも冷ややかだ。



  遥は踵を返すと、溜め息と共に、エレベーターホールへ向かった。
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