東京血風録
剣鬼は使い手の能力をあげると申したが、ただスピードをあげたり力を強くしたり、それだけではない。
中には、1振りする度に暴風を起こすモノもおるし、雷撃を放つモノまでおる。
儂のはちょっと違うのだが、ここでは伏せておこう。
儂の場合、遥が念の使い手だったのでそれを増幅させているのが、今の儂の能力といえよう。
言っておくがの、いくら手練れの剣豪と
破壊力のある剣鬼が組んだとて、それだけでは最強たりえんのだ。
そこには重要な信頼関係が必要とされるのである。
お互いを思い、知り、信用して技を繰り出す時に最大値の能力が発揮されるのだ。
その点に於いて、儂と遥には驕りと怠慢があったのだ。
自分たちより格上の存在に遭った時、これは致命的な弱点と言えた。
儂らは、お互いを知り、お互い信頼していると思い込んでいたのだ。
それがあの時、空転し如実に噛み合わなかったのだ。
そこに隙がうまれ、敗北へと繋がった。
最強だと思っていたのだ。
あの時点の我々は。