東京血風録




「全く訳分かんないわね。何、この状況」
 怒るわけでもなく、諦めの口調であるとさえ思えるそんな言い方。
「もう、あなた・が何なのかなんて私が知りうるべくもないわ。ただ、あなた・と遭ってから遥は変わったの。それはもう疑う余地がないわ。何か通ずるものがあるのね、きっと。いつも一緒にいて、あんなに楽しそうな遥見たことないもの」

 当然ながら、儂・剣鬼のことは霧華には解るわけがない。
 だが、この話し方どう考えても、儂に話し掛けてるよの。
 問い掛けられても返答しようがないので困るのじゃが、霧華とこうして話すことがあるとは思わなかったので、これはこれでいいもんだ。

「この摩訶不思議な儀式?もどうかしてるわ、本当に。
遥がそうしたいと思っているからこうなってるんでしょうけど。
ただ、これだけは覚えておいて。
これが何の為になってるんだか知りようもないけど、
これから先、遥の身に何かあったら、あなた・のこと本当に承知しないからね!
バキバキに叩き折って、地獄の業火で焼いてあげるわ!
その燃え殻で焼き芋も焼いてやるわ!さぞかし美味しく焼き上がるでしょうね!
はふはふしながら、ホクホクしたお芋を食べてあげるわ!」



 最後は涙目になりながら、怒気を含んだ声で喚いた。
 珍しいことじゃ。あの霧華がこんなに取り乱すとは。


 聞こえることはないが、儂は(はい、わかりました)と、答えておいた。


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