東京血風録

4 想い猛る




 王道遥は目を覚ました。
 
 もう正午を迎えようとしていた。

 おはよう、と挨拶してきた。
 儂はもうとっくに起きているが。
「うむ、おはようである」

「調子はどうかの?」
 依然、遥の腹には木刀が突き刺さったままである。
 ソファーに寝そべりながら、
「うん、悪くはないね。寝起きもいい感じだよ」
と、答えた?

「抜いてみるかえ?」
「う、うん、そうだね」
 遥の動揺が、ドキリと突き抜ける。
 体内にて接しておるから、感情はダイレクトに伝わるようだ。

 遥は立ち上がった。
 右手で木刀の中腹を握ると、ゆっくりと引き抜いた。
 吐く呼吸を合わせながら。

 遥には苦痛はないらしい。
 徐々に徐々に、刀身が露わになる。
 やがて、くの字に折れた部分が抜き出された。
 亀裂は、、、、ない。
 ささくれ立っていた側面もキレイに整っていた。
 若干違う所、骨折からくっ付いた骨がそうであるように、折れていた箇所が膨らんでいた。
 
 全部抜き出すと、遥は正眼の構えで立ってみた。
 鳩尾に、疵痕はなかった。
 木刀を頭上にかざし、ぶん、と素振りをしてみた。
 1回、2回、3回。


 刀身をじっと見つめると、
「不思議だね~」と、感心しきった声で呟いた。
「違和感ないよ」
 その眼は、自信に満ち溢れていた。
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