東京血風録





 龍王院真琴は考える。

 王道遥、不思議な男。
 忠誠を誓う?
 まだだ。
 もう少し様子を見よう。


 それにしても、メガネ。
 柊一のヤツ、なんなのよ、全く。
 折角の東京、もっと距離を詰めなさいよ。
 それとも、私の押しが弱かったのかな?
 ただ、悟られてはいけない。
 慎重にことを進めなければ。
 
 あぁ、でも、もどかしい。

 
 てか、霧華って誰よ!














 そして、王道霧華。







 闇。

 霧華の眼前と全身を囲む空間全部が、闇に包まれていた。
 目は開けているのだが、一寸先も全く見えない。

(ここはどこ?)
 背中を伝う汗と恐怖でひんやりとした。

 後ろ手に何かで結ばれ、床に寝転がされている。

 ふと、人の気配を感じた。
 霧華の眼前、少し離れた所。
 闇の中。



 きぃ、と何かが小さく哭いた。

 人の気配がする方で。


 
 鬼児の声であった。
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