東京血風録
 王道遥

 王道家長男。17歳。高校2年生。剣道初段。
 容姿端麗。美形。筋骨まま隆々。クール。
 王道家長男として産まれたため、文武両道を掲げられ、幼い頃から英才教育が施された。

 それはトラウマとなり、現在のクールな感情、仮面のような表情の礎となっている。
 彼を支えているものは、5歳から始めている剣道である。
 剣道の才能は幼い頃から発揮され、中学に入る頃には“氷の美剣士”だの“怜悧な剣の使い手”などと呼ばれるほどだった。


 幼い頃から、視える能力は発現していた。
 王道家の先祖や地縛霊などは3歳くらいから視えていたらしい。
 断つ能力に関しては、あの事柄が関係しているのであろう。


 遥の通う学校までの通学路の途中に、骨董品屋があった。
 雑多で乱雑に積まれた品々を見て、これは誰が買うのだろうなどと遥は思っていた。
 或る日、いつものように骨董品屋の前を通ると、か細い声で自分を呼んでいるような気がした。名前を呼ばれたのだ。


 実際には、名前など呼んでおらん。
 名前などわかる由もないのだから。

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