サザナミ少年少女探偵団Ⅰ
✡不運天使は事件を呼ぶ?✡
「おっはよー!」
次の日、春亜は元気に教室に行くと、何やら教室の隅に人だかりができているのが見えた。
「?」
何だろう。
ランドセルを自分の机に乗せてから、春亜も行ってみる。
「どーしたの?」
「あ、春亜ちゃん……」
一人の生徒を取り囲んでいたうちの一人が、困ったような顔で振り返った。
どうやら、一人の女子生徒が困っていて、その子の友達が慰めているらしい。
「何かあったの?」
「……あのさ、『ゆめうた』って知ってる?」
「あ、知ってる!」
季希の家のからくり時計で鳴っていた歌だ。
「でね、その歌を作った人が、この子のお姉さんなんだけど……」
「え?そうなの!?」
女子は自分の席で俯いてる女の子を指した。
鼻のあたりのそばかすが可愛らしい、大人しそうな女の子だ。
「……私、軽部 咲久(かるべ さく)。……春亜ちゃん、私の話、聞いてくれる?」