桜色の恋 (龍と桜とロボットと。)
日和を寝かせているのは、
下から持ってきた
折りたたみ式のベット。

壁際にそれを寄せて
その周りを春樹さん達が持ってきた
組み立て式の仕切りで囲んだ。


「...全員仕切りからでなさいっ!!」


怪我人や病人が出ると、
すごくしっかりする絵里さん。


日和の顔を見つめたままの俺らに
そう一喝した。


ガチャ...

飛鳥がドアを開けて入ってきた。

雰囲気を見て、
しゃべらない方がいいと感じたらしい。

目で今の状況を説明する。


若干わかったようだったから、
そのまま目線をまた、
日和のいる
仕切りの向こうに向けた。


「春樹さん。」

小さな声で春樹さんに話しかけた飛鳥。

「どんな指示が来ても大丈夫なように
言っておきました。
いつでも指示出して下さい」

「あぁ。
ありがとな」

「いえ..
さっきは、すみませんでした」

「いや、
大丈夫だ」

そんな会話が終わって少し。




「春樹にぃ。
一応、平気...」

物音が続いた後、
聞こえてきたのは
こういうときの絵里さんらしくない、
困惑したような、
悲しそうな、
そんな声。




「...?
絵里、どうかしたか?」


「ごめん...
悪いけど、春樹にぃだけ入って」


「...わかった」

何か言おうと口を開いた俺たちを、
目線をこっちに向けながら手を上げて
黙らせた春樹さんは
仕切りの奥に入った。
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