桜色の恋 (龍と桜とロボットと。)
春樹さんは驚いた様子もなく
両手を自分の顔の横にあげた。
「これから僕は君に触れることは無い。
君を傷つけることも。
怯ませることも…できるだけ無くしたい。」
穏やかで、けど真っ直ぐで。
貫くような強さじゃなくて、もっと別の光をたたえた目で
私の見上げていた。
「は、い…」
そっと手を下ろして、折り曲げた自分の膝の上に置く。
話したくないことは、
話さなくても構わない。
そう前置きして、春樹さんは問いた。
「…その体にある過去の傷を、
あいつらに一緒に持ってもらうつもりは
……あるかい?」
「っ!!」
サッと脇腹をかばう。
……もう、痛みもしないのに。
「っ…この、傷は、
…誰かに持って貰うには重くて、黒くて
そんな大変なこと…出来ません……」
ギュゥと体に力を入れて俯いた。