桜色の恋 (龍と桜とロボットと。)
「ひーより!
大丈夫か?」
ぼぅ、っと放心状態で
窓の外を眺めてしばらくたった頃。
軽快なノックの音と共に
ぴょこ、
とドアから顔だけのぞかせる卓也。
「卓也…」
窓からドアへと目線を動かしてそう呼べば
二カッと笑って部屋に入ってくる。
「傷はどう?」
「あ…うん
切り傷はそんなに無くて……
打撲くらいだから…大丈夫」
「んー…そっか」
ちょっと難しそうな顔をした後で
またニコ、と笑って、
「俺らで夕飯、作ってみたんだ
日和も、一緒に食べよ?」
コテ、と首をかしげて聞く卓也は
いつも通りで。
それに流されるかのように
少しずつ警戒が解けていくのを感じた。