桜色の恋 (龍と桜とロボットと。)



「う、ん…」


ホイ、と目の前に出される卓也の
パーにした左手を見つめる。


「ひーよーりっ!」

グーパーグーパーと
手を動かして催促する。


そぉっと手を動かして、卓也の手に乗せた。


嬉しそうに笑った卓也が、
そっと手を包むように手を繋いだ。

抜けようと思えば抜けれるくらいの力。


やっぱり気にしてくれてるんだ、
って思って、
でもニコニコ嬉しそうに笑う卓也に
引け目を感じたり警戒するようにはならなくて、

そこまで考えてやってるのかな、なんて
自分を上から見てるような
客観視で思考を巡らせた。







「俺らみんなで作ろーとしたらさー?
まず野菜の切り方で迷うし
ぴーらー?の使い方わかんねーし
でも包丁じゃ上手くいかねーしさぁ」

口を尖らせて
斜め上に愚痴る。



「なに、作ったの?」


気づかないくらいの少しの間と、
少しだけ握られた手。

「なーいしょ!」

当ててみ?
匂いとかなんかそーいうので!!

嬉しそうに言って、
そう難題を出してくる卓也。


ドアを開けて、階段を降り始める。









がやがやといつもと同じ音がする。

卓也を伺うと満面の笑みで返された。













あ、これって…

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