桜色の恋 (龍と桜とロボットと。)




「っ!」


「…俺らは、お前にとってそんな軽い存在か」


ハッとして座ったまま振り向く。


みんなの視線を浴びながら、
まっすぐにこっちを見ている涼がいた




「っちが……!」


「俺らは、そんなに弱くて頼れないか」




違う、
みんなは頼りになる優しい人



少し怒ってるみたいにも見える顔



「俺らじゃ持てねぇとでも思ってんのか」


そんなんじゃない、ただ私は……!





「っ……」



「見くびんなよ!!」

部屋中に響く大きな声。


「ちょっ涼…!」

「落ち着けよ……!」


卓也と飛鳥が腰をあげて
涼を止めに行こうとした時。



「俺らはなぁ!
お前一人の荷物持つくらいどうってことねーんだよ!!
お前一人の過去も苦しみも悩みも全部!
持てるくらいの余裕はあんだよ!!」


ハッとしたようにみんなの動きが止まる。


痛いくらいに張り詰めた空気の中を
涼の声だけが響いていく。




「俺らは他人か!?
抱え込んでるもの見せねーようにして
曖昧なっ……嘘の笑顔で誤魔化すような相手かよ!!」

「っ!!」




「涼!!!」


飛鳥の咎める声が涼の声を遮ると同時に
横に立っていた宏明が
私の涼の間に立った。





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