桜色の恋 (龍と桜とロボットと。)






…好きじゃない、か……




追いかけようにもどこへ行ったのかも分からなくて、
日和の言葉を脳内で再生しながら倉庫まで戻る。















「日和…なんで……?」


「おかしいだろ…!!」


呆然と、
もしくは怒りを感じ始めているみんな。

幹部は既に幹部室へと行ったようだった。





「宏明さん…」


何を言うともなくそう呟いて
俺を見る奴ら。




失った喪失感
裏切られた絶望感
騙されていた怒り。





…まだ、終わってねぇかもしれねぇ。


そう言いたくて、
でも、こいつらの顔を見ると、こんな目を見ると、
これ以上混乱させるわけにいかなくて、
何とも言えない顔で微笑んだ。



...あ、俺、今眉下がってるんだ


勝手に動いた表情筋を後から自覚して苦笑する。



「ごめんな。」



…もし、
俺の考えてることが少しでも当たっているのなら。


日和が戻ってくる可能性があるのなら。


居場所を残しておいてやりたい。







「…なんか、考えてる事あるんすか」


っ!


宏明さんは、そんな顔で笑う人じゃないんで。
待ちます。...信じてます。



そう言って見せた笑えきれてない笑顔に、
胸が熱くなるのを感じた。




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