月に一度のシンデレラ
…こいつ、ちょっと面白いかも知れないぞ。
もっとも、面白いのと危険なのは紙一重かも知れないが。
「名前教えてください。あとLINEのIDも。お友達になって?」
俺は快諾した。
名前を尋ねると「マリカ」と名乗った。どういう漢字を書くのか、と訊こうとして止めた。本名ではない可能性が高いと思ったから。知ろうとすること自体が無意味だ。
喫茶店を出るとマリカは腕にしがみついてきた。豊かな胸が触れる。わざとなのか無意識なのか、この俺にも計りきれない。
「行く?」
訊いてからホテル街の方向に目をやると、マリカは言った。
「うん、行く!」
…なんて簡単なんだ。
いや、簡単なフリをしているだけか?何のために?
金か?ヤバいやつの差し金か?
いま、財布の中身がいくら入っているかに頭を巡らせた。
最近飲み会続きだったから寂しいもんだ。その上、万一のためにカード類は財布ではなくカバンの隠しポケットに入れてある。祖父が金貸しをやっていて高校生の頃から手伝わされてきたから、こういう面に関しては慎重すぎるくらい慎重だった。
ホテルに入る瞬間、マリカの尻に手を回した。
見た目よりも豊満で柔らかく熟れていた。