月に一度のシンデレラ



セフレとはホテルに長居しない。そう俺は決めている。
女達との間に会話は必要なかった。俺は所詮、彼女らの性的な部分にしか存在価値を感じていない。仕事や女友達に関する愚痴を延々と聞かされることは時間の無駄だ。彼女ヅラされるのが面倒だしな。

マリカとホテルに入り、二回戦を終えた感想。身体の相性、5段階評価の5。「かなり良し」だ。


良い女を拾ったな。見た目より慣れているようで、望むことをいちいち口にしなくても自発的に動いてくれる。
セックスって思いやりだよな、と俺は思う。経験の数だけが問題なのではない。その時々で、相手をきちんと思いやってきたかどうかが行動に現れるのだ。もちろん、こんな話は身体を重ねてきたどの女にもしたことが無い。する必要もないし、相性が良くないと思ったら捨てるだけのことだから。

「今日は金曜日だもんねぇ。一週間お疲れ様。明日はお休みなの?」

「ああ。もう、クタクタだよ」

「肩でもお揉みしましょうか?」

マリカが笑った。こんな風に労ってくれた女がいただろうか。皆、自分の話ばかり。男と、身に着けるものと食うものにしか興味が無いような、底の浅い連中ばかりだった。そういう女だけを選んで相手にしてきたせいもあるが。何故って?気楽だから。後腐れが無いのが何よりだと思ってきたから。
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