月に一度のシンデレラ
まもなく渋谷駅に着いた。
「じゃあ、またね」
後ろ髪を引かれる様子もなく、スルリと改札を通り抜けて行く。俺はその後ろ姿を見送った。
ホームへと続く階段を登るとき、彼女は振り返る。手を振って、満面の笑みで俺を見た。そして、それからは一度も振り返らずに、井の頭線のホームへと消えていった。
腕時計に目を落とすと、午前0時を回ったところ。
まるでシンデレラみたいなヤツだな。
俺は心の中でつぶやいた。