月に一度のシンデレラ
本当にありがとうね。涙が出るほど嬉しいよ。
でも、お願いします。私のことをシンデレラと思ってくれたのなら、これからも12時前に帰るシンデレラでいさせて。
月に一度のシンデレラでいたいの。それで充分なんです。
ああやっぱり、彼女は他の誰かのものなんだ。
深い落胆。そして、また会えるという喜び。
俺はソファに突っ伏した。
数分後、返信する。
わかった。11月の第三金曜日、20時に、昨日別れた井の頭線の改札で待ち合わせしよう。
楽しみにしているよ。おやすみ。
「月に一度のシンデレラ、か…」
ソファに仰向けに寝転がって発した言葉は、誰にも受け止められずリビングの天井に跳ね返る。残響が、侘しく広がって行くさまが見えるようだった。