心見少年、音見少女。
「ご、ごめんなさい……僕のせいで中止にさせちゃって……佐月さん、みんなのこととかちゃんと知りたかったはずなのに……あの……」
朝のホームルームが終わった後、金は佐月の席に来て頭を下げていた。
金色の涙が目に浮かんでいる。本当に申し訳ないと思っているらしい。
「い、いや、大丈夫だよ?そんなに気にしないで」
「でもぉ……何かお詫びしないと、僕の気が済みません……」
これを断ったら、もっと泣いてしまいそうだ。何かさせてあげなければ……
(えーと、えーーと……あ!)
「そうだ、じゃあここのクラスのみんなのこと、教えてくれるか?
先生は個人的に自己紹介しろって言ってたけど、みんな初対面の人間にはやりにくいと思うからさ」
「分かりました!」
金の笑った顔を佐月は初めて見た。ぱあっとした、太陽な笑顔だ。
ぷにっとしたほっぺが持ち上がってて、お饅頭みたいになってる。
「生徒紹介?ほんなら、僕らも手伝おかー」
「あたしもー!ほら、ひよりんも!」
「何故私が……」
水晶、火影、日和が乱入してきた。
日和はほとんど火影に引っ張られてしぶしぶ来たという感じだが。
「えーっと、木花と良美と金は自己紹介したからあとは……」
火影が教室を見渡す。
「僕達がまだですよ」
黒くて固そうな短髪に、キリッとした目の少年が寄ってきた。
制服は若干着崩しているのに、凛々しい侍のような印象がある。