心見少年、音見少女。
後ろには、何人か他の生徒を連れてる。
「おー、論土(ろんど)!いつの間に来とったん?」
水晶が先頭の男子の背中をバシバシ叩く。
「少々『本クラス』の方へ行ってまして、さっき来たところです。佐月先輩の事は、間地先生から伺いました。
……ちょ、水晶先輩、痛いです!」
「佐月くん、早速紹介するわ!こいつ、烏丸 論土(からすま ろんど)。僕らの一個下で、真面目で硬派なやっちゃ!」
「しっかりしてて、心が強くて、僕はとっても尊敬してるんです!」
金も自分なりの紹介をする。
「金、そんなに褒めても何も出ないぞ……
あぁ、あなたが倉橋 佐月先輩ですね、初めまして。僕の事は論土と呼んで下さい。中等部三年で、持ってる能力はテレポート―――瞬間移動です」
論土が深々と頭を下げる。金に褒められて嬉しかったのか、耳が少し赤い。
背筋がぴしっとしていて、能力を持ってなかったら剣道部にいそうなやつだ。
「時田、『本クラス』って何?」
佐月が水晶に耳打ちする。
「ああ、能力を上手く扱えるようになったらちょっとだけ行ける、『本来のクラス』や。能力を持ってへんかったら入れたクラスのこっちゃ。あと、僕のことは水晶でええよ」
「へー、うんわかった。ありがとな、水晶」
「これからよろしくお願いします。何かお困りのようでしたら、出来る限り協力しますので……うわっ!」