心見少年、音見少女。
「論ちゃんどいて!次アタシがやる!」
論土を押しのけて、漆黒の髪にパールホワイトのメッシュを入れたサイドテールの女子が前に出る。
漫画のように大きな眼と、スラリと高い背。肉付きの良い色気を放つようなスタイルは、制服を着てないと学生に見えない。
でも制服のリボンが水色……高等部二年生のようだ。
「この人は、あたしたちの一個上の先輩の、小海 カゴメ(こうみ かごめ)先輩だよ!」
「明るくって優しくって、皆から信頼されているお姉さんなんですよ~」
火影と金がすかさず紹介する。
「ほかチャン、がねチャン、ありがとー!
アタシの事はカゴメ先輩って呼んでね、佐月クン!」
ほかチャンとがねチャンというのは、どうやら火影と金のことらしい。
ずいっと佐月の真ん前に立ち、カゴメはよろしくと手を振った。
「アタシの持ってる能力は模倣(コピー)能力。
一瞬で物を移すことが出来るよ~今は珠無くても、だいぶ自分で制御できるようになってきたけどね!ちなみに、好きな物は……」
カゴメはネイルを施した手で佐月の顔を優しく挟む。
そして妖艶な笑みを浮かべた。
「佐月クンみたいな可愛い男の子♪」
「え゛?!」
近づいてくる美しい顔に、佐月は顔が熱くなった。
「あー、気にするな、カゴメ先輩の言うことは半分冗談だ。」
日和が恋愛小説っぽい場面をぶった斬る。